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雑司が谷選集その2

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毎度一回目の記事だけあげて、残りがいつまであがらない密林日記。
今回はちゃんと書きます。
先攻は4回とも余吾さん。

今回はご専門の夏目漱石です。
『心』は雑司が谷霊園が舞台なので、お墓に行った後、話の全貌がつかみやすかったです。

『こころ』はこころと平仮名表記になったのは文庫が出てからだそうで、
朝日新聞の専属作家だった漱石が同紙に連載していたようです。
連載当初は『心~先生の遺書』と副題がついていたということでした。
最初は短編の集合体として企画されたのですが、その時ついていた副題はそのままだったそう。

遺書がかように長いのは次に連載する志賀直哉が原稿をくれなかったので、漱石が責任持って
書いていたからではないかと。

そして、どういう事情か長引いた朝日新聞の連載で、
語り部の私と先生、Kとのことが雑司が谷霊園きっかけに語られる。

遺書は長い。とても長い。
瀬戸さんは封筒に入りきらないのでは、とか巻紙だったらこのぐらいの厚さですね。
と20cmくらい示したりする。

余吾さんは下記写真の作中年表も作ってくださり、ほんとに読んでなくてもOK.
読書会という名前は無くて正解だったかも。

Kと先生とのいきさつは、
明治6,7年ごろ同郷で子供の時から仲良しに始まり、
明治32年まで続く。

私と先生との交流は明治43年(7、8月)
それから明治45年までの2年と少し。
(小説冒頭の鎌倉の海岸のシーンは明治40年又は41年頃という説もある)

先生と私は、10月の23日か30日に(明治43年のカレンダーで日曜日に当たる)
雑司が谷で墓参りしていて、11月末にまた墓参りをする。
いつKが死んだのかという疑問は、
『彼岸過迄』のモデルになった漱石の娘、
雛子の墓参に11月29日(雛子の祥月命日)に行ってる記述があるので、
大体月末であろうと。

先生もまたKも、月末に死んでいる。
さらに明治天皇(明治45年7月30日、今年でちょうど100年目)も。

余吾さんのくれた作中年表で
『先生死のうとしてから10日も遺書を書いている』という記述が。
『10日も書いててやっぱり死ぬのやめようとは思わないんですね~』と私。
『ああっ10日も書いてたから遺書がこんなに長いのか~』瀬戸さん。

漱石の意図はどうであれ、
先生の遺書の長さと、
『心』は、月末に人が死ぬ物語ということで一区切り。

余吾さんは漱石の墓のデザインの説明から、奥さんと漱石、作品と漱石、
弟子と漱石などエレガントに説明してくれている。

文章の抜書きなど、読んでなくてもなるほどねえと感嘆するセリフが書いてある。
アランの幸福論抜書きのように、余吾さんに漱石抜書きをしてもらったら、
『今日の良い言葉5巻セット』くらい楽勝。
皆でふーん、へーー、そうなのか!の連発です。
 
雑司が谷選集その2_e0178150_1353102.jpg

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後攻は瀬戸さん。
今回は漱石の墓と雑司が谷霊園に視点を絞って、
芥川龍之介の『年末の一日』をテーマに。
瀬戸さんは小ネタだとおっしゃっていたけれど、本当にこころと合わせて読むと面白い。
K君という「漱石の愛読者」が芥川をたずねてきて、芥川と漱石のお墓参りをするというような、
エッセイとも小説ともいえる文章。でも芥川らしい怪しさがある。


動坂から護国寺の電車に乗り、雑司が谷に行くが漱石の墓が全然見つからない、
芥川のいらいら落ち込み悲しみが伝わってくる。
最後の方に墓地裏の八幡坂も出てきて、箱車を押すところで終わる。
後半ゾクゾクし、心と共に読みたくなる。
(短いから読んでください。内容分かりやすくあえて書きません。笑)

瀬戸さんはその後メディアファクトリーから出ている、『先生と僕』香日ゆらを紹介してくださる。
漱石マニアの漫画だそうだ。
その後、参加者の方から購入報告を受ける。面白そう。

そこで、昭和2年夏7月24日芥川が自殺する前に漱石の墓前で目撃されるエピソードがある。
漱石は「死はいいが、自殺はつまらない」
のスタンスだったそうだが、芥川が何を思い伝えに行き立ち尽くしたのか本人しか、知りようがないが
光景を思うとただ切ないとある。

まとまりのある今回の暗闇墓めぐりから、心、年末の一日まで。

やっぱり芥川も月末に死んでいる。月末は人が死にやすいのか?
年末の一日の出典は『戯作三昧・一塊の土』新潮文庫だそうです。

ちなみにこの日瀬戸さんは計算か偶然か五分刈りにしてきてくれましたが、余吾さん曰く
Kは五分刈りだったそう。うーん凄い!

いや毎回いいね!

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by junglebooks | 2012-12-20 13:49 | イベント

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